《評価:一読の価値あり》
和歌山毒入りカレー事件を、当時15歳だった著者が独自の観点で綴った論文。発表された当初は、かなりマスメディアで取り上げられたようですね。彼女が注目したのは、当時連日マスメディアを賑わせた容疑者ではなく、被害者たち。最初に食中毒と誤診され間違った治療を施され、結果的に四人の犠牲者を出してしまった保健所・病院・警察の対応を丹念に追っています。保険金目当ての殺人という、容疑者の動機からは見えてこない事件の全貌が鮮明に伺えることでしょう。
それにしても、『いわゆる「毒入りカレー事件」は、夏休みが始まって間もない七月十五日夜、和歌山市園部の空き地で開かれた園部第十四自治会の夏祭りで発生した』という要点を端的に描いた書き出しが中三の文章なんですか。まあ家の購読紙が日本経済新聞で、しかも日ごろからそれに目を通す習慣があったにしても。すげえ。
きせがわさんが日記で紹介されてたので読んでみました。お返しに、
桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)

桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)

《評価:買い》
こちらをオススメします。もちろん桶川の事件だから買ったのですが、上記の本と同じように、なかなか見えづらい事件の本質が覗けると思います。ハードカバーでよろしければお貸ししますが文庫買ったほうが早いかも。