塗仏の宴 宴の支度 (講談社ノベルス)

塗仏の宴 宴の支度 (講談社ノベルス)

塗仏の宴 宴の始末 (講談社ノベルス)

塗仏の宴 宴の始末 (講談社ノベルス)

《評価:やっぱり買い》
とても面白かったです、不思議なことに。
考えてみれば、初読時に感じた不透明さは、郎党どもが右往左往した挙句互いに不信感を抱いたり、古書屋がいらん雑学は垂れ流すのに肝心の事柄はがっちり隠蔽してた、というところなんですね。やっぱり古書屋一党は結束しててこそなんだと。個別に悩んでないでさっさと親分にぶちまけて何とかしてもらえよみたいな。それが歯がゆくていらいらしてたんだと思います。
一見読み飛ばしがちな(初読時は飛ばしまくった)古書屋の垂れ流し情報は、実は重要です。この物語は『本末転倒』『根は一緒で枝分かれするが行きつく先も一緒』がテーマなので、そして彼らが関わった過去の事件も要所要所で出てくるので、それこそ丹念に読み進めていかないとあっという間にちんぷんかんぷんです。
それを踏まえていくと、始末の後半へ、事件の収束へ至る過程で得られるカタストロフ?謎がぶち壊され公開される快感、一党が古書屋を中心にまとまっていく快感がより楽しめるようになります。
これはそういうお話です。そういうお話なんです(光保風)だから二周目三周目から楽しくなっていくので、どんどん読みましょう。
あの厚さで上下巻が苦にならない方にのみおすすめします。